威力、成功のダメージ寄与#3&小ネタ
この記事の概要
威力、成功のダメージ寄与について、9/3現在の解析結果を掲載します。 また、データ計測・解析の過程で分かったことも小ネタ(2件)として掲載します。
前回までのおさらい
威力、成功のダメージへの寄与は一次関数で表されます。一般形にすると下記のとおりです。
威力、成功の太字は、パラメータだと表現するための単なる太字であって、数学的に意味を持たせているわけではありません(つまりベクトル等ではありません)。
- fn_威力 = a_威力 * 威力 + b_威力 - ①
- fn_成功 = a_成功 * 成功 + b_成功 - ②
試行内容と仮説
今回は、ダメージ計算式内の威力寄与項、成功寄与項の関連を特定します。 これは、ダメージ計算式(D)が下記3パターンのどれに該当するかを調べるものです。
※この式では威力、成功の寄与していない項を定数(A0, B0)と置いています。ただしもちろん、そうしたとしても一次関数系になるかは特定できていません。あくまで下線部の特定がしたいのだとご理解ください。また中盤からA2, A2, ..., B1, B2,...と説明なく使っていきますが、これらも定数であることを意味します。
- D = A0 * ( fn_威力 + fn_成功 ) + B0 - ③(和)
- D = A0 * ( fn_威力 * fn_成功 ) + B0 - ④(積)
- D = A0 * fn_威力成功 + B0 - ⑤(③、④以外のパターン。お手上げに近い)
①、②から、③は以下のように式変形できます。
- D = A0 * { (a_威力 * 威力 + b_威力) + (a_成功 * 成功 + b_成功) } + B0
= A0 * a_威力 * 威力 + A0 * a_成功 * 成功 + A0 * (b_威力 + b_成功) + B0
= A1 * 威力 + A2 * 成功 + B1 - ⑥(和)
④も同様に、
- D = A3 * 威力 * 成功 + A4 * 威力 + A5 * 成功 + B2 - ⑦(積)
いま⑥(和)と⑦(積)を見比べると、威力 * 成功 の項があるかどうかがポイントとなることが分かると思います。これからとるアプローチは、⑥(和)を想定した推定をしたときに、誤差で説明できる場合は③(和)となりますし、誤差で説明できない差があれば④(積)である可能性が出てきます。一方で、その誤差が④(積)の傾向と違う場合は、⑤(お手上げに近い)ということになります。
威力*成功*ダメージの3次元グラフで考えると、③(和)となるのは左のケースで、どんな成功値でも、威力によるダメージ寄与(図中傾き)が一定です。 ④(積)となる右のケースでは、成功値が高くなればなるほど、威力によるダメージ寄与(図中傾き)が上がります。
さて、威力、成功のダメージ寄与#2までの計測条件をグラフにまとめました。 こちらから、素のハーモニーLv90を原点として、威力のみ増、成功のみ増のデータを計測したことが分かると思います。
推定ダメージの作り方は、威力値の内挿A(図中①)をし、その後に成功値の内挿(図中②・③)をして得ます(順序は逆でも可)。実際には計測も行われているので、その誤差の大きさを確認していきます。 単純に言えば、誤差が小さければ③(和)で、遠い推定をするほど誤差が膨らむ場合は④(積)の可能性があります。
外挿もできますが、傾向が合わなかった理由が複数考えられてしまうので、まずは内挿で確認します。外挿でずれた場合には、威力、成功のダメージへの寄与がずっと一次関数であるとの保証は取れていないため、そこまで疑うことになることを嫌っています。
追加するデータはこちらです。 いたずらに多くなってしまったのは、検証の裏取りや小ネタに反映させるためです。なお、下記図中黄色点が内挿、赤点が外挿のデータです。
(確認用データ: 内挿)
- パーツをアールサイズLv90に変更
- パーツをメタリボルバーLv90に変更 + グラビティ
(確認用データ: 内挿、兼一次関数パラメータの傾向確認用データ)
- パシーラLv20
- パシーラLv20 + オプチカル
- パシーラLv20 + グラビティ
(確認用データ: 外挿、兼一次関数パラメータの傾向確認用データ)
- パーツをブリリアーマーLv90に変更
- パーツをブリリアーマーLv90に変更 + グラビティ
(確認用データ: 外挿、兼小ネタ1確認用データ)
- パーツをデスミサイルLv90に変更 + グラビティ
- パーツをシュートバレルLv90に変更
(小ネタ2確認用データ)
- グラビティ (* すでに計測しているがN数を増した)
威力、成功のダメージ寄与#3&小ネタ1
結論としては、威力、成功のダメージ寄与は和と結論付けられそうです。 各推定結果は画像のとおりで、 ブリリアーマー(→小ネタ1)を除けば14ダメージ以下の誤差です。 ブリリアーマーの例のため、この結論をきちんと裏取りするのにかなり時間がかかりました…。
また「追加した計測条件」の図にある点線で一次関数パラメータ(傾き)を別途計算していて、これをもともと得ていたヒメダッカー原点の一次関数パラメータ(傾き)との比較をしています。 この比較は、和である結論を裏付けるように、威力(または成功)が異なっていても傾きが一定である(誤差範囲内)との結果が出ています。図中の点は最小二乗近似による推定で、ヒゲは99%信頼区間です。
小ネタ1 -パワーライフルの脚部有ボーナスの計算方法-
今回の解析に当たり、ブリリアーマーの計測を最初におこなっていて、誤差で説明できない差が出てきたので和でないと思っていました(#2でも発言)。
ただし内挿では一致している、追加計測した外挿でも一致していることから、パワーライフルの脚部有ボーナスの計算方法を誤っていることが判明しました。 つまり、★5威力ボーナス(+400)には脚有威力ボーナス(*1.5)が掛かりません。 この通りに計算すると、誤差はほか同様に小さくなります。
- (誤) (素のパーツ威力 + ★5威力ボーナス) * 脚有威力ボーナス
- (正) 素のパーツ威力 * 脚有威力ボーナス + ★5威力ボーナス
小ネタ2 - ダメージ乱数幅 -
乱数の分布幅、傾向で分かったことがあるのでご紹介します。 #1で、乱数の分布は一様分布のようだと説明しましたが、クリティカルに限っては例外のようです。このデータは、今回追加計測しN数を増やした「ハーモニーLv90+グラビティ」のものです。
防御ダメージの乱数は一直線の分布(一様分布)であることが分かりますが、クリティカルダメージはそうではない曲線状の分布になっています。 これがたまたまであったかどうかは議論の余地がありますが、クリティカルの場合に尖度が-1.2とならないことはデータが示しています(尖度=-1.2で一様分布(水色線)、0.0で正規分布)。今回の場合は-0.6付近なので、一様でもない正規でもない中間の分布ということが言えます。
クリティカル以外は-1.2付近。 クリティカルは-0.6付近。例外的に傾向を外れているものはN数が少ないもの。
分布そのものを論じるのはとても困難ですが、クリティカルの分布幅がひとつに収束しない理由は、その分布が一様分布でなく、上下限と乱数幅を容易に特定できない、あるいは上下限と乱数幅が無限大である可能性を示しています。
今後の進め方
今回の結果で、威力、成功のダメージ寄与は解明できたと感じます。 次回は攻撃スキルレベルの影響を検討しようと思います。